3 エルネスト・コンソロ

エルネスト・コンソロ(一八六四―一九三一)は、イタリアのピアニスト・教師・作曲家。リストの教えを受けたズガンバーティの弟子。ライプツィヒでライネッケにも学ぶ。イタリアでの成功後、ヨーロッパ各地をコンサートで廻った。作曲家ダラピッコラはピアノをコンソロから学んでいる。アメリカでも演奏活動や、音楽芸術研究所(ジュリアード音楽院の前身)などでの教育活動を行っていて、ズガンバーティやマルトゥッチらイタリアの作曲家のアメリカでの知名度向上に一役買っている。死後、彼を記念して、若手ピアニストのための「エルネスト・コンソロ賞」が創設されている(ミケランジェリが受賞者の一人)。

Index

ピアノを音楽的な楽器にする

著名なピアニスト・教師であるエルネスト・コンソロとの長い会話のなかで、演奏者や教師にとって極めて大事な点が数多く触れられた。コンソロ氏が話してくれたことには、たとえば次のようなものがあった。

「ピアノ教師が自分の職業を至極まじめに考えることは絶対に必要です。私見では、ここアメリカには最高に素晴らしい教育体制が整っています。教師たちも、自分の仕事を真面目に考える気持ちがありますね。アメリカが音楽教育で抜きん出て、音楽面で世界をリードする日はそう遠くないと思います。まだそのときは訪れていませんが、必ず来ます。あなたがたの国は驚くほど進歩していますが、まだ若い国です」

「真剣なピアノ教師がたくさんいるという話をしましたが、生徒については同じことを言えません。彼らはしばしば表面的で、早く前に進もうとしすぎている。必要な年数を訓練に費やすことを厭い、せっかちにステージに上がりたがる。どんな芸術も急いではいけません。絵画・彫刻・建築・音楽の生徒はみな、各専攻における技術を学ぶ必要がある。奥義を極めていくということを学ばないといけないし、この目的への手段として、技術も極めないといけない。優秀な音楽家以上に厳しい修練が必要な人はいません。フェンシング・ボクシング・野球などの選手も、各競技の技術を身につける必要がありますが、ピアニストは――最高の音楽を奏でられるようになるには――彼ら選手たち以上に技術のマスターでなくてはいけないのです」

「極めること《マスタリー》の核心は集中力です。集中力なくしては、価値のあることはほとんど何も達成できません。生徒はピアノの前に座って、一日に何時間か『練習』すれば十分と考えている。その時間のうち、少しだけでも集中力を高めて取り組めば、より多くのことを達成できます。人によってはわずかな時間でマスターできるようなページやパッセージを、何時間もかけないとマスターできない人がいます。この違いは何でしょうか。一方が他方より頭が良いと言えます。知性があればあるほど集中力が高くなります」

「集中力が身についていない子が入門した場合、何か楽譜を渡してかなりゆっくり読ませます。すべての音符・フレーズ・運指記号がはっきりと目に入ってくるほどにゆっくりとです。手が間違いを犯すのは、集中して考えることに慣れていないからです。ミスは十分に集中していない証拠です。成功の鍵はいつもマインドなのです。心の力をフル活用しなければ、自分のなかにある最高のものを出し損ねます」

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「技術的な備えと日々の練習にかんしては、私は生徒ごとに違ったことをしています。生徒はそれぞれ違いますからね。二人の人が同じ手・体・心を持つことはありません。だとすれば、全員を同じ型に流し込むわけにはいかないでしょう。たとえばある生徒は、手首が素晴らしいがたいした指ではない。この場合、その子の兄――手首に劣る兄――に与えるのと同じ量の手首の練習を、その子には与えなくてもよい。そんなことをしても時間の無駄です。また、音質や強弱についての観念があまり備わっていない生徒には、シューベルトやショパンの簡単なメロディのなかで、美しい音色を学ぶように助言しています。美しい音が出せるようになるまで、いろいろな方法で弾いてもらうのです。ピアノは反応を返して来る楽器であり、あなたの入力に対して出力を返してきます。激しいタッチで弾くと、きつい音色で戻ってきます。ピアノが音楽的な楽器になるかどうかはあなた次第なのです」

「非常にまずいタッチで入門して来る生徒もいます。こういう生徒はもちろんピアノの根本原則に立ち戻り、そこから積み上げていく必要があります。手・腕・指の正しい動き、適切な状態を学ばなくてはいけない。このようなことはピアノを離れて、テーブルの上で習得できることです。といっても簡単な曲はいつも弾かせています。これは音感や音楽的な感覚を忘れないようにするためです」

「もちろん私は包括的な音階練習をするようアドバイスします。すべての調での音階練習、あらゆるリズムとタッチでの音階練習です。練習方法は限りないほど多様です。三度や六度の重音音階練習は、他の音階がうまくなってからやります。この音階練習にはアルペジオも含まれています」

「私はピアノを極める基本は集中力だと言いました。集中力と連携しているのはリラックスです。腕・手首・肩がリラックスしていない限り、音は硬くなり、演奏はすべてぎこちなく非音楽的になる。疲れた筋肉。緊張した筋肉。痛い筋肉。こんなものは必要ありません。こんな状態になるのは固さの証拠です。リラックスできていないことを示しているのです。私はピアノの前に座って三時間ずっとフォルテで演奏できる。それでいて手や腕に疲れを感じることは、僅かにでもない」「フォルテ 無料素材」の画像検索結果

「さらに言いますが、ピアノは、リラックスした人や、体の使い方を知っている人が弾けば、壊れることはありません。私たちはピアノが『関節もの』であることを忘れてはいけません。アクションはとても精密に調整されていて、まったく自由に楽に動作します。ピアノを弾く人は、追加の関節をピアノに付与するだけなのです。追加分の関節は、自由な動きや調整加減という点では、ピアノの中にすでに存在している関節と等しくあるべきです。他方、関節が固くて筋肉が凝っている人は――立派なピアノでラグタイム(*)でもガンガンと弾きまくって――ピアノを一週間で駄目にしてしまうことだってありえます。ところがリラックスの法則を理解している演奏者の指にかかれば、ピアノは何年も持つのです」

(*)ラグタイムは二十世紀初頭(一九一八年頃まで)世界的に流行した、シンコペーションを多用した軽音楽。

「リラックスの原理はアスリートや野球選手が体現しています。彼らの体はあらゆる部分でバランスがとれていて、楽に動くようになっています。緊張してこわばった姿勢とは無縁のようです。ぎこちない動きもありません。腕・肩・手首・指、すべてがリラックスしていて楽になっています。ピアニストもアスリートと同じようにリラックスすることを学ぶ必要があります。私はある程度、身体的なエクササイズの効果を信じています。軽めのダンベルで大丈夫です。驚くかもしれませんが、ごく軽いもので十分効果があるんですよ。しかし一度に一つの動作だけです。一度に多くの筋肉を鍛えるのではなく、一つの筋肉だけ鍛えてください」

「ピアノ譜を暗譜するメソッドは私には何もありません。曲を技術的、機械的に把握したとき、もう覚えているんです。実際いつ覚えるのかわかりません。楽譜を置いてピアノ弾いていて、ページを繰るのをふと忘れる。すると自分が曲をもう覚えていることに気づくわけです。オーケストラと共演するとき、私は他の全楽器のパートを――それが単純な和音の伴奏でない限り――把握しています。オーケストラと演奏しているのに全体を理解していないのは、私にはつまらないことです」

ズガンバーティ

「私はある時、ズガンバーティ(*)の協奏曲を弾くことになりました。しばらく弾いていない曲だったこともあり、弾いても思い出せなかった。対策としてまず頭に浮かんだのは、総譜を出してきて復習すること。しかし記憶から思い出してみようと考え直し、その方向でやってみました。結果、三時間半ほどで協奏曲全体が頭によみがえってきました。一度も総譜に頼らないまま、十日後の本番でこの曲を弾きました。これは記憶が絶対的なのものあって単に機械的なものではない証拠です」

(*)ジョヴァンニ・ズガンバーティ(一八四一―一九一四)は、イタリアの作曲家。一時期リストに学んだ。本章のエルネスト・コンソロの師。

「生徒たちは暗譜できないと言いますが、正しい方法を使えばかなり楽に覚えられます。私は生徒に一小節か二小節の短い部分を注視してもらい、その後、譜を見ずに弾いてもらう。おっしゃるように、ピアノのそばにいなくても暗譜はできますが、留意すべき記号や印はいろいろあるので、ピアノの前にいられる場合はそうするのが良いと思います」

「ピアノ演奏はとても個人的で複雑なことです。私は生徒に対して、自分と同じような演奏や解釈を求めていませんし、それを望んでもいません。そうすると、私は単に自分のレプリカをたくさん生み出すだけになり、一人ひとりの個性は失われてしまいますからね」

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「生徒たちはよく、私とは違ったふうに曲を弾いています。私がその曲に見出している精神とは別の精神で、弾くのです。しかし私は『それは間違っている。先生が弾くとおりに弾きなさい』などとは言いません。芸術性を逸脱していない限り、生徒がその曲について感じているままに弾くようにさせています」

「私がお話したことは、演奏者にも教師にも役立つと信じています。私たちアーティストは、教師たちに大きなエールを送らなくてはいけません。立派な仕事をしている教師がほとんどですからね」
「まだまだお話したいことはたくさんありますが、残念ながら時間がありません」